現在に至るまでを細かく書いたシリーズもの。
不思議体験やいかに!
(まだまだ続きます)
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不動産の契約書を手にした
翌日の飛行機1便。
関西国際空港から、新千歳空港に飛び
特急に乗り換え、帯広に帰りました。
* 恐怖と焦り *
2月の中旬。
京都と北海道では
同じ日本でも、気温差は20度近くあります。
母ほどでは、ないにしろ
冠動脈が弱い私の身体は
気温差に耐えかねていて
思うようには動かなくなっていました。
愛美
「ただいま。物件見つかったよ。K先生が言った通りの物件」
母
「おかえり。ほな、引っ越しは何とかできそうやな。
息子の相手したって。ママが恋しいて、泣いとったから」
愛美
「ほーか。可哀想なことしたなぁ。今年は誕生日も、ちゃんと、お祝いしてあげられんかったし…」
3歳になった息子を抱き上げると、嬉しそうに抱きついてきました。
しばらく息子と遊んでいましたが
公益社に勤めていたときから
体力は限界を越えていて
更に無理な動きかたをしていたため
気力のみで動いていました。
そのため足元はフラつくうえ
腰を痛めていたので右足は痺れ引きずり
手も痺れます。
「…あんた、身体、大丈夫か?仕事で腰も悪くしてるやろ?」
見かねた母は、少し休みなさいと
声をかけてきました。
愛美
「平気や、まだ動く。今動かなアカンのや。約束もしたやろ。
それに、何かに喚ばれてる気がする」
母
「約束てなんや?喚ばれてるて、京都にか?」
愛美
「私が15歳で高校辞めるとき言うたやろ。いつか京都に還したるって。
9年かかったけど約束は約束や。
京都には還らんと…。
役目を果たさにゃならん気がする。
それに、じぃちゃん、ばぁちゃんも年やし、誰が面倒見るん」
母はため息をついていました。
母
「まんまに頑固や。なんもそこまで思わんでもええやろに」
愛美
「………(両親揃って頑固なくせして、よう言うわ。どっちに似ても頑固者や)
とにかく、月末には、京都に住むで。翌月からは、すぐに仕事」
ちょっとは休みなさいよ、ともう1度母は告げて
荷造りを再開しました。
引っ越しの切っ掛けは
否応なしでしたが
この時の私は
母との約束を守るという想いとは別に
異常なほど
「京都に還らなくてはならない」
「務めを果たすために京都に!」
という恐怖にも似た、焦りの感覚がありました。
なぜか
この機会を逃したら
2度と京都に行けない、還れない気がしたのです。
私が帰宅して1週間後には
引っ越し業者が来ることは決まっていたので
荷造りを何とか済ませ
引っ越しの前日は
お世話になった方々への
挨拶回りに充てました。
続く!